LDLコレステロールが高い…すぐに薬? 〜その前に知っておいてほしいこと〜
こんにちは。
しんがい内科・循環器内科 沼南クリニックです。
健康診断の結果を見て、
「LDLコレステロールが高いと言われたけど、どうしたらいいの?」
「薬を飲まないとダメなの?」
そんな不安の声を、よく耳にします。
今回は、LDLコレステロールの正しい見方と、
薬を使うべき人・使わなくてもいい人の違いを、やさしくお伝えします。
🧪 1. LDLコレステロールって、悪者なの?
LDLは「悪玉コレステロール」と呼ばれていますが、
本当は私たちの体にとって大切なものなんです。
たとえば…
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細胞の材料になる
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ホルモンや胆汁(消化液)をつくるのに必要
悪いのは、LDLの中でも**小さくて酸化しやすい“sdLDL”**というタイプです。
このタイプが血管にたまって、動脈硬化を進めてしまいます。
でも、健康診断ではsdLDLまでは分かりません。
📏 2. LDLが140を超えたら、すぐに薬?
ガイドラインでは、LDLが140mg/dLを超えると「高い」とされます。
でも、それだけですぐに薬を飲む必要があるわけではありません。
まず確認したいのが、今までの病気の有無です。
✅ 薬が必要な人の例
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心筋梗塞や狭心症になったことがある
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糖尿病・腎臓の病気・脳梗塞などがある
このような方は、LDLをしっかり下げることが大事になります。
🔍 3. リスクの数で変わる「薬を使うかどうか」
病気の経験がない人でも、「リスク」が多いと注意が必要です。
リスクとは、動脈硬化につながる習慣や体の状態のことです。
たとえば、
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たばこを吸っている
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血圧が高い
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血糖値が高い
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家族に心臓の病気の人がいる
こうしたリスクが**2つ以上ある男性(40〜59歳)**は、
高リスクのグループに入り、薬の使用を考えます。
女性の場合は、もう少し基準がゆるくなります。
🔬 4. HDLとnon-HDLも大事なポイント
LDL(悪玉)だけでなく、HDL(善玉)やnon-HDLも大切です。
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HDLはコレステロールを回収する「掃除屋さん」
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non-HDLは「悪玉の合計のようなもの」。LDLと中性脂肪の影響も反映します
中性脂肪(TG)が高いと、sdLDLが増えてしまうため注意が必要です。
血糖値が高めの人も、sdLDLが多くなりやすく、
糖尿病の手前の状態かもしれません。
⚠️ 5. 下げすぎると、体調を崩すことも
「コレステロールは悪いから、とにかく下げればいい」
…というのは、少し危ない考え方です。
コレステロールは、ホルモンの材料でもあるので、
極端に下げすぎると、うつっぽくなったり、元気が出なくなったりする人もいます。
必要な人が薬を使うのは良いことですが、
誰でも薬を飲むべき、というわけではありません。
🥗 6. まずは生活習慣を見直してみましょう
薬の前にできること、それは生活の見直しです。
✅ 野菜や魚を中心にした食事
✅ 甘いものや炭水化物をとりすぎない
✅ 運動を習慣にする(ウォーキングでもOK)
✅ たばこをやめる
こうした生活改善で、コレステロールがしっかり下がる人もたくさんいます。
💬「私の場合はどうなんだろう…?」と思ったら
薬が必要かどうか、今の生活で改善できるのか、
一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。
当院では、数値だけでなく、一人ひとりの背景やリスクをしっかり確認して、
納得できる治療方針を一緒に考えていきます。