健診で「血圧が高い」と言われたあなたへ
薬を始めるかどうかだけでなく、今必要な対策を一緒に考えます
循環器専門医が、家庭での血圧、生活習慣、心臓・腎臓・血管への影響を確認し、生活習慣の改善から始められるのか、薬物療法を併用した方が安全なのかを丁寧に判断します。
院長からのメッセージ
高血圧の治療は、「すぐに薬を飲む」か「何もしない」かの二択ではありません。
高血圧は、自覚症状がほとんどないまま、少しずつ心臓・脳・腎臓・血管に負担をかける病気です。その一方で、健診や診察室で一度血圧が高かっただけでは、本当に治療が必要な高血圧か判断できないこともあります。
当院では、家庭血圧、年齢、生活習慣、喫煙、糖尿病・脂質異常症・腎臓病の有無、これまでの心臓病や脳卒中の既往などを確認し、患者さんごとの危険度を評価します。状態によっては、まず減塩や運動、体重管理などに取り組み、経過をみることができます。
一方で、血圧が著しく高い方、すでに臓器への影響がある方、心筋梗塞・脳卒中・腎臓病などの危険性が高い方では、生活習慣の改善と同時に薬を始める方が安全です。大切なのは「薬を使わないこと」ではなく、将来の病気を防ぐために必要な治療を、納得して選ぶことです。
生活習慣が改善し、家庭血圧が安定すれば、薬の量や種類を見直せる場合もあります。反対に、必要な薬を自己判断で中止すると血圧が再上昇することがあります。検査結果と家庭血圧を共有しながら、一緒に治療方針を考えていきましょう。
循環器専門医・総合内科専門医
しんがい内科・循環器内科 沼南クリニック
院長 安原 健太郎
こんな方はご相談ください
- 健診や人間ドックで、血圧が高いと指摘された
- 診察室では高いが、自宅ではそれほど高くない気がする
- 家庭血圧が高い日が続いている、特に朝の血圧が気になる
- 上の血圧は高くないが、下の血圧が高いと言われた
- できれば生活習慣から改善したいが、薬が必要かも含めて判断してほしい
- すでに薬を飲んでいるが、血圧が安定しない、ふらつきや副作用が心配
- 若い頃から高い、急に高くなった、複数の薬でも下がりにくい
- 家族に高血圧・脳卒中・心筋梗塞・腎臓病の人がいて、自分のリスクが心配
- いびき、日中の眠気、起床時の頭痛があり、睡眠時無呼吸症候群も気になる
高血圧とは

一般に、診察室で測った血圧が140/90mmHg以上、家庭で測った血圧が135/85mmHg以上の場合、高血圧が疑われます。ただし、血圧は緊張、睡眠不足、痛み、気温、運動、飲酒などでも変動するため、繰り返し測定して判断することが大切です。
診察室だけ高くなる「白衣高血圧」や、診察室では正常でも家庭や職場で高くなる「仮面高血圧」もあります。そのため、当院では診察室の数値だけでなく、家庭血圧を重視しています。診断の基準と治療の目標は同じではなく、目標値は年齢、体調、立ちくらみの有無、心臓・腎臓の状態などを考慮して個別に設定します。
なぜ、症状がなくても治療が必要なのか
高血圧は、頭痛やめまいなどの症状がなくても進行します。高い圧力が長期間続くと、血管が傷み、動脈硬化が進みやすくなります。その結果、脳卒中、狭心症・心筋梗塞、心不全、腎機能低下などの危険性が高まります。
治療の目的は、血圧の数字を下げることだけではありません。将来の心臓病・脳卒中・腎臓病を防ぎ、元気に生活できる期間を延ばすことが本当の目的です。
当院の方針
状態によっては生活習慣の改善から始め、必要な方には薬物療法を早めに組み合わせます。
「まず生活を整える」「薬を使う」「両方を同時に始める」のどれが適切かは、血圧の高さと全身のリスクによって異なります。
家庭血圧と診察室血圧を確認する
測定方法を整え、朝・夜の家庭血圧や健診データを確認します。一度の数値だけで治療方針を決めません。
血圧が高い背景と全身のリスクを評価する
食塩、体重、飲酒、睡眠、服薬状況に加え、心臓・腎臓・血管への影響や二次性高血圧の可能性を確認します。
一人ひとりに合った治療を選ぶ
生活習慣の改善だけで経過をみられるか、薬を併用した方が安全かを説明し、患者さんと相談して決めます。
家庭血圧を見ながら再評価する
取り組みや薬の効果、副作用、ふらつきの有無を確認し、無理なく続けられる方法へ調整します。
具体的な診療内容
家庭血圧の確認
家庭血圧は、高血圧の診断と治療効果の判断にとても重要です。朝は起床後・排尿後・朝食や服薬の前、夜は就寝前など、できるだけ同じ条件で測定します。記録は紙の血圧手帳でも、スマートフォンでも構いません。
血圧計をお持ちでない場合や、正しく測れているか分からない場合もご相談ください。測定姿勢、腕帯の位置、測定する回数などを一緒に確認します。
血液検査・尿検査
腎機能、電解質、血糖、脂質、尿蛋白などを確認し、高血圧による影響や合併する生活習慣病を調べます。若い方、急に血圧が高くなった方、薬が効きにくい方では、ホルモンの異常や腎臓の病気など、別の原因が隠れていないか追加検査を行うことがあります。
心臓・血管の検査
- 心電図
高血圧による心臓への負担、不整脈、心筋の変化などを確認します。 - 心臓超音波検査
心臓の壁の厚さ、動き、弁の状態、心臓の機能を評価します。 - 脈波検査(ABI/PWVなど)
足の血管の狭窄や血管の硬さを確認します。 - 胸部レントゲン
心臓の大きさや肺の状態を確認するため、必要に応じて行います。
すべての方に同じ検査を行うわけではありません。健診結果、症状、年齢、既往歴に応じて必要な検査を選び、不必要な検査はできるだけ減らします。
生活習慣の改善
生活習慣の改善は、薬を使う場合にも使わない場合にも、高血圧治療の土台になります。当院では、最初からすべてを変えるのではなく、患者さんが続けやすいことを一つ選び、できたことを確認しながら次へ進めます。
- 減塩
高血圧の方では、食塩6g/日未満を目標にします。麺類の汁を残す、汁物の回数を減らす、しょうゆを「かける」から「つける」に変えるなど、実生活に合わせて考えます。 - 食事と体重管理
野菜、魚、大豆製品などを取り入れ、主食・間食・外食の量や頻度を見直します。肥満がある方では、無理のない減量が血圧改善につながります。 - 運動
体調や心臓・関節の状態を確認し、ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、続けられる方法を提案します。 - 飲酒・喫煙
飲酒量を整え、喫煙している方には禁煙を支援します。 - 睡眠
いびき、日中の眠気、朝の頭痛がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の評価も検討します。
管理栄養士による個別の栄養指導や、併設する運動施設での運動指導も活用できます。外食が多い方、家族が調理する方、夜勤がある方など、生活環境に合わせて実行可能な方法を一緒に考えます。
薬物療法

生活習慣の改善だけでは目標に届かない場合や、血圧が高く危険度が高い場合には、薬物療法を提案します。薬にはいくつかの種類があり、年齢、腎機能、心臓の状態、ほかの病気、妊娠の可能性などを考慮して選びます。
薬を始めたら必ず一生続ける、という意味ではありません。ただし、血圧が下がったのは薬が効いているためという場合も多く、自己判断で中止することは危険です。家庭血圧と生活習慣の変化を確認しながら、減量・減薬が可能かを医師と相談して判断します。
よくあるご質問(FAQ)
- Q.健診で一度高かっただけでも受診した方がよいですか?
- 一度の測定だけで高血圧と確定するわけではありません。ただし、繰り返し高い場合や、160/100mmHg以上など明らかに高い場合、糖尿病・腎臓病・心臓病がある場合は、早めの確認が必要です。健診結果を持参してご相談ください。
- Q.薬は一度始めると一生飲み続けますか?
- 必ずしも一生とは限りません。減塩、減量、運動、節酒、睡眠の改善などで血圧が安定し、医師が安全と判断した場合には、薬の減量や中止を検討できることがあります。一方で、体質や加齢、臓器障害のため継続が必要な方もいます。
- Q.下の血圧だけ高いのは問題ありませんか?
- 拡張期血圧だけが高い状態も高血圧に含まれます。若い方や肥満、塩分過多、睡眠不足などと関係することがありますが、原因はさまざまです。上の血圧が正常でも、繰り返し高い場合は評価が必要です。
- Q.受診時に何を持っていけばよいですか?
- 健診結果、家庭血圧の記録、お薬手帳、現在飲んでいる市販薬・サプリメントの情報をお持ちください。過去の検査結果があれば、不必要な検査を減らすことにもつながります。
ご予約・お問い合わせ
「薬を飲むべきか迷っている」という段階でも、まずは一度ご相談ください。
血圧の数字だけでなく、家庭での測定結果と全身の状態を確認し、今のあなたに必要な対策を一緒に考えます。







