LDLコレステロールが高い…すぐに薬? 〜その前に知っておいてほしいこと〜その2
こんにちは、しんがい内科・循環器内科 沼南クリニックの院長の安原健太郎です。
今日はコレステロールや中性脂肪が高い時の大切な考え方についてお話しします。
1次予防と2次予防
1次予防と2次予防ってご存知ですか?
簡単にいうと、1次予防はまだ大きな病気、例えば心筋梗塞などにかかったことがない人が、将来の病気を予防するときの考え方です。2次予防はすでに病気になった人が、次の病気を起こさないようにするための考え方です。
1次予防の方と、2次予防の方とでは治療方法や予防に対する考え方が違いますのでしっかりと確認してください。
1次予防の方、つまりこれまでに心筋梗塞などの大きな病気にかかったことのない方は、コレステロールの管理目標は人によって変わってきます。
例えば、50代の女性で他に高血圧や肥満がなく、家族にも心臓病の方がいない場合、LDLの管理目標は160となります。
少しややこしいですね💦
1次予防の方の中でも、糖尿病、慢性腎臓病、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患のいずれかの病気がある人はかなりリスクが高いです。これらの病気をすでに持っている方は薬を飲んでLDLを下げる必要があります。LDLコレステロールの目標値は120以下になります。その他には、年齢や性別、高血圧の既往や、LDL以外の脂質異常がある場合、家族が若くして、心臓病を発症した場合もリスクが上がっていきます。これらは一つよりは2つ、2つよりは3つと増えれば増えるだけリスクが高くなります。
更年期の女性は、女性ホルモンの減少によってLDLが分解されにくくなります。ですので多少高くなっても、他に特に病気がなければある程度高くてもすぐに薬を飲む必要はないと考えます。生活習慣を見直すことによって、薬を飲まなくても改善する可能性があります。それでも心配な場合は一度、病院を受診して、動脈硬化の検査を受けるのもいいかもしれません。
2次予防はすでに心筋梗塞や狭心症などの重大な疾患を発症している方になります。これらの患者さんはLDLコレステロールの管理目標は一気に厳しくなります。日本循環器学会のガイドラインでは少なくとも70以下、世界的にはもっと低くても良いということになっています。
この数値は非常に厳しい設定となっており、薬を数種類飲む必要があります。その金額は非常に高価となります。またコレステロールを下げることによって、様々な副作用、例えば食欲が落ちたり、性欲が落ちたりすることもあります。大きな病気を発症して2次予防を行うことがないように、まずは普段の生活習慣を見直すことが必要ですね。
生活習慣病は、メタボリックドミノと言って、肥満を皮切りに、高血圧、高コレステロール、糖尿病と多くの病気が積み重なっていきます。コレステロールが高い時や、高血圧だけ指摘された時が逆にチャンスだと捉えて、生活習慣の見直しを始めましょう!