【睡眠時無呼吸の治療】睡眠時無呼吸症候群の治療、CPAPってなんですか?
こんにちは、しんがい内科・循環器内科 沼南クリニックの院長の安原健太郎です。
今回は睡眠時無呼吸症候群の治療についてお話しします。
睡眠時無呼吸症候群の治療、特に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療の目的は、眠っている間に気道がふさがらないようにして、十分に酸素を体に送り込み、質の高い睡眠を保つことです。
質の悪い睡眠は、単に朝の目覚めが悪いだけでなく、心臓や血管、代謝に悪影響を与え、生活習慣病や心血管疾患のリスクを高めます。朝起きても疲れが取れない場合は、睡眠時無呼吸のために、睡眠の質が悪いため起きているのかもしれません。
睡眠時無呼吸の治療の中心はCPAP療法です。特に中等症から重症、AHIが20以上の方はCPAPによる治療が第一選択です。
海外の研究では、CPAPを使うことで日中の眠気が半分以下に改善し、夜間の血圧も平均で約4mmHg低下します
高血圧を持つ方では降圧効果がより大きく、特に治療抵抗性高血圧では6〜7mmHgの低下が期待できると言われています。
CPAP療法の効果を得るためには、少なくとも4時間以上、できれば6時間以上使い続ける必要があります。
また、1か月のうち7割以上の日で使用することが望ましいです。
途中でやめてしまうと、再び無呼吸が起こり、血圧や心臓への負担が元に戻ってしまいます
次にマウスピース治療です。
正式には「口腔内装置」と呼ばれ、下あごを少し前に出した位置で固定して気道を広げる方法となります。
軽症から中等症の方や、CPAP療法がどうしても合わない方に向いています。
AHIの改善度はCPAP療法ほどではありませんが、軽症の方では日中の眠気やいびきがしっかり減ることがあります。
作成には、まず睡眠の専門医で診断を受け、その後、歯科で一人ひとりに合わせて製作します
減量も非常に大切です。
肥満はOSAの最大の危険因子のひとつで、首や気道周囲の軟部組織への脂肪の沈着が気道を狭くします。
体重を1割減らすとAHIが約25%改善するという報告があります。
肥満が関係している場合は、食事療法と運動療法を組み合わせた減量が根本的な改善につながります。
逆に、治療を受けても体重が増えると再び無呼吸が悪化してしまいます。
体位療法も有効な場合があります。
仰向けに寝ると舌や軟口蓋が重力で落ち込み、気道がふさがりやすくなります。
このタイプの方では、横向きで寝ることで無呼吸が減ります。体位で無呼吸が起こるかどうかは、検査でもある程度わかります。
軽症で体位依存性OSAの方に有効です。
外科的治療には、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術や舌縮小術、下顎骨の前方移動術などがあります
骨格的な問題が原因の場合や、他の治療がうまくいかない場合に選択されますが、体への負担や合併症リスクがあるため、十分な説明と検討が必要です。
今回は睡眠時無呼吸症候群の治療についてお話ししました。
まずは、病院で適切な診断を受けることが大切です。日中の眠気や、朝起きても疲れが取れない場合は一度お近くの病院でご相談ください。
しんがい内科・循環器内科 沼南クリニックでは、健康診断で気になった数値について丁寧に診察・検査を行います。
生活習慣病を中心に薬に頼らない、患者様に優しい医療を心がけています。お悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。