【胸の痛みが続く?検査で異常なし?】若い女性にも多い“隠れ狭心症”「INOCA」とは?
こんにちは。
広島県福山市のしんがい内科・循環器内科 沼南クリニック院長の安原健太郎です。
【もしかして…これも狭心症?】検査で異常なしなのに続く胸の痛み
「胸が痛いのに、検査では異常なしと言われた…」
そんな経験をされたことはありませんか?
実は、それ、**「INOCA(イノカ)」**という病気が関係しているかもしれません。
今回は、
- INOCAとはどんな病気か
- なぜ若い人や女性に多いのか
- 治療法はあるのか
について、循環器専門医の立場からわかりやすく解説していきます。
【狭心症との違い】INOCAとはどんな病気?
一般的な狭心症(労作性狭心症)は、動脈硬化によって心臓の血管(冠動脈)が狭くなり、血液が流れにくくなることで胸の痛みが生じます。特徴は以下の通り:
- 運動や労作時に胸が痛む
- CTやカテーテル検査で血管の狭窄が見つかる
- 動脈硬化が主な原因
これに対して、**INOCA(イノカ)**は、
👉 **「目に見える血管の異常がないのに、胸痛などの症状が現れる病気」**です。
つまり、検査で血管の狭窄が見つからなくても、血流の異常によって症状が出るのがINOCAの特徴です。
【こんな症状に要注意】INOCAの多彩な症状
INOCAの症状はとても多彩です。
- 安静時でも胸が痛む
- 痛みが30分以上続くこともある
- 腹痛、あごの痛み、肩甲骨や後頭部の痛みとして出る場合もある
さらに、以下のような要因で悪化することがあります:
- 精神的ストレス
- 高血圧、糖尿病、脂質異常症
- 喫煙
- メタボリックシンドローム
【なぜ若い女性に多い?】4つの原因を解説
INOCAは**狭心症の患者さんの40〜50%に見られ、特に女性では60〜70%**と高い割合を占めます。40〜50代の比較的若い女性に多いのが特徴です。
その理由には以下の4つが関係しています:
1. 女性ホルモン(エストロゲン)の低下
エストロゲンには血管を拡げる働きがあります。閉経前後でホルモン分泌が減少すると、影響を受けて血管が収縮しやすくなります。
2. 自律神経の乱れ
ストレスや精神的な負担が、自律神経のバランスを崩し、血管の収縮・拡張に影響します。
3. 微小血管の機能異常
目に見えないほど小さな血管(微小血管)の異常により、心筋への血流が不足し、痛みが出ます。
4. 血管の攣縮(れんしゅく)
血管が一時的にキュッと収縮することで血流が制限される状態です。特にストレスや寒さ、喫煙などで起こりやすく、冠攣縮性狭心症とも呼ばれます。
【どうやって診断する?】INOCAの検査方法
通常の心電図や血液検査だけでは、INOCAの診断は困難です。
必要に応じて以下の検査を行います:
- 心エコー検査
- 心臓CT
- カテーテル検査(冠攣縮の有無も調べられる)
専門的な検査を行って初めて、INOCAと診断されることが多いのです。
【治療法はある?】INOCAの改善には生活習慣がカギ
INOCAの治療は、主に以下の2つです。
1. 生活習慣の改善
- ストレス管理(リラックスする時間を持つ)
- 適度な運動(ウォーキングなど)
- バランスの良い食事(動脈硬化予防)
2. 薬物療法
- 血管を広げるカルシウム拮抗薬や硝酸薬
- 高血圧・脂質異常症の治療薬
- ストレスが関係する場合は、漢方薬の併用も検討します
【まとめ】「異常なし」と言われても、安心できない胸の痛み
- INOCAは「検査で異常が見つからない狭心症」の一種
- 特に40〜50代の女性に多く、見逃されやすい病気です
- 微小血管や自律神経、ホルモンの変化などが原因になります
- 専門的な検査と治療が必要です
「なんとなく胸が痛い」「でも検査では異常がないと言われた」――
そんな方は、ぜひ一度循環器専門医の診察を受けてみてください。
当院でもご相談を受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。