〜尿酸ってなんですか?=ほっとくと大変、10年以内には痛風になる? しんがい内科・循環器内科 沼南クリニック
こんにちは、しんがい内科・循環器内科 沼南クリニックの院長、安原健太郎です。
最近健康診断で尿酸値が高いと言われたことはありませんか?尿酸値が高いとどうなるの?そもそも尿酸って一体なんなの?今日はそんな疑問にお答えします。
そもそも尿酸とはなんなんでしょうか?
尿酸とはプリン体という物質が体内で分解された残りなんですね。
プリン体といえばビールを思い出す方も多いのではないでしょうか?
プリン体は私たちの細胞の中に存在していて、DNAやエネルギーの材料になっています。もちろん、体外からも吸収しています。体の中で作られたり、吸収されたプリン体が体の中で使われて、その時にできる副産物が尿酸なんです。尿酸の80%は体内で作られます。残りの20%は食物のプリン体から合成されます。
一方で作られた尿酸は腎臓や消化管から排出されて、体内の尿酸の値を一定に保つようになっています。
このバランスが崩れて、体内の尿酸値が高くなった状態を高尿酸血症と言います。
尿酸自体は一体なんの役目をしているのでしょうか?
そもそも尿酸は体にとって必要なんでしょうか?実はとっても重要なんです。
私たちの体は生きていくだけで体の中でいろんな物質を作っています。その一つに酸化ストレスがあります。これは精神的なストレスとは違い、体の反応の一つとして発生する物質なんですね。もちろん酸化ストレスにも役割があるので、過剰に存在すると、老化や悪性腫瘍の原因にもなってしまいます。
尿酸は酸化ストレスを除去する作用があり、酸化ストレスから体を守ってくれる役割をになっています。尿酸値が高くなると高尿酸血症となり、やがては痛風を起こしてしまいます。一方低すぎても問題で酸化ストレスから体を守れなくなり、やがては大きな病気を引き起こす原因となってしまうのです。
尿酸値が高いとどうなりますか?
尿酸値が高くて問題になる一番有名な病気は「痛風」です。
血液中の尿酸が多くなりすぎると、それが結晶となって関節にたまり、炎症を起こします。これが痛風発作です。
足の親指のつけ根に突然、激しい痛みと腫れが起きるのが典型的な症状で、「風が吹いても痛い」と言われるほどの痛みがあります。
尿酸値が9.0を超えると14年間で90%の人が痛風を発症します。ですので、痛風がなくても9.0を超えると高尿酸血しょうの治療を行います。
ただ、問題は痛風だけではありません。
尿酸が高い状態が続くと、腎臓にも負担がかかります。特に女性において、腎不全が進行する重大なリスクとなります。
「尿路結石」の原因にもなります。14年間の経過で、尿酸値が9.0以上で40%に尿路結石を認めます。
さらに、最近では高血圧、糖尿病のような生活習慣病との関連性も明らかになっています。
尿酸値が高い人は将来高血圧となるリスクが高いことがわかっています。
また高尿酸血しょうが合併した高血圧の方は、将来心筋梗塞などの重大な病気にかかるリスクが高いことがわかっています。
つまり尿酸値が高いというのは、単に「足が痛くなるかも」という話ではなく、体の“内側”でいろんな問題が起こっているというサインなんです。
今回は「尿酸とは」についてお話ししました。健康診断で尿酸値が高いと言われた方は一度生活習慣を見直しましょう。
しんがい内科・循環器内科 沼南クリニックでは、健康診断で気になった数値について丁寧に診察・検査を行います。
生活習慣病を中心に薬に頼らない、患者様に優しい医療を心がけています。お悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。