急性心不全とは?その原因とは?
こんにちは。しんがい内科・循環器内科 沼南クリニックの院長、安原健太郎です。
今日は「急性心不全」について、皆さんにわかりやすくお話ししたいと思います。
最近、実業家の青笹さんが急逝された際、その死因が「急性心不全」と報道されました。この病名を聞いて、「心臓が悪かったのかな」「突然死につながる病気なのか」など、さまざまな疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか?
では、急性心不全とは一体どんな病気なのでしょうか?
急性心不全とは、正式には急性非代償性心不全と言います。
ちょっと聞きなれない言葉だと思います。心不全に急性がついているので、心不全が急性に起きた状態というのはなんとなくわかるかもしれません。
そもそも心不全とは
「心臓に何らかの異常があり、心臓のポンプ機能が低下して、全身の臓器が必要とする血液を十分に送り出せなくなった状態」を言います。
心不全は状態によってさらに細かく分類されていきますが、その一つに急性非代償性心不全があります。ここでは急性非代償性心不全のことをわかりやすく急性心不全と呼ぶことにしますね。
先ほども説明した通り心不全とは心臓のポンプ機能が落ちてしまったために起こる状態を言います。心臓の役割は全身に血液を送ることですから、ポンプ機能が落ちると全身に血液を送ることができません。そのため呼吸困難や、浮腫、倦怠感がでたりするようになります。
心臓の機能が低下する原因には、さまざまなものがあります。
- 一つ目は心筋梗塞です。:心臓の血管が詰まり、心筋が壊死する病気です。心臓の筋肉が動かなくなれば、当然ポンプ機能は落ちます。
- 2つ目は心筋症です:心筋そのものの病気で、筋肉の厚みや硬さに異常が生じ、心臓の収縮や拡張がうまくいかなくなります。
- 3つ目は弁膜症です:心臓内の血液の流れを調節する「弁」に異常があると、血液が逆流したり、うまく送り出せなくなります。
- 最後は不整脈です:心拍のリズムが乱れることで、効率的なポンプ運動ができなくなり、血液を全身に送り出せなくなります。
これらの原因があり心臓の機能が落ちてしまうと、ついには心不全となってしまうのです。
ある一定の人は心臓が悪いにも関わらず症状がなく進行し、ある日突然症状が出現し、病院に運ばれるようになってしまいます。もちろん心筋梗塞のようにいきなり心臓の機能が落ちて、すぐに心不全を発症してしまう場合もあります。
心不全と言っても様々な状況があり、人によって全く進行具合が違うのが心不全の難しいところです。
心不全の原因となる心臓の病気は、基本的には発見が早ければ早いほど、回復する可能性も高いです。心臓の機能は一旦落ちてしまうと回復することはなかなか難しいです。
次回は心不全の危険なサインについてお話しします。
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