睡眠時無呼吸症候群について
こんにちは、しんがい内科・循環器内科 沼南クリニックの院長の安原健太郎です。
最近、寝ても疲れが取れない、日中もすぐ眠くなる、こんな症状を自覚したことはありませんか?もしかしたらそれは睡眠時無呼吸症候群かもしれません。
今日は睡眠時無呼吸症候群とはなんなのか?どうやって診断されるのか?実際どれぐらいの人が睡眠時無呼吸症候群にかかっているのか?などについてお話しします。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは英語でSleep Apnea Syndrome、略してSASと呼ばれています。
睡眠時無呼吸症候群には2種類あります。一つは寝ている間に気道が物理的に閉塞して無呼吸を引き起こす閉塞性睡眠時無呼吸症候群、英語の頭文字をとってOSAと言います。もう一つは、こちらも寝ている間に、脳の呼吸中枢がうまく働かなくなり呼吸が止まってしまう、中枢性睡眠時無呼吸症候群、略してCSAと言います。
OSAの方が割合が多く一般的ですので、主にOSAについて解説します。
OSAとは?その診断基準は?
OSA(Obstructive Sleep Apnea)は睡眠中に気道が物理的に閉塞する病気だと言いました。
具体的には、寝ている間に舌や筋肉などの柔らかい組織が、重力や、筋肉の緩みなどによって、喉の後ろの方へ落ち込み、空気の通り道を塞ぐことを言います。空気が体の中に入ってこないため、呼吸ができていない状況になります。
呼吸が10秒以上完全に止まる状態を「無呼吸」、無呼吸までは行かなくても換気が通常の50%未満に減る状態を「低呼吸」と呼びます。
ちなみに、舌や筋肉が気道に落ち込んで狭くなった時にかく呼吸をいびきと言います。
もちろん完全に止まったままでは、そのまま低酸素で亡くなってしまいますので、その前に覚醒して、落ち込んだ舌を持ち上げて呼吸をします。もちろん、無理やり覚醒させるので、ぐっすり寝ることもできません。
無呼吸と低呼吸発作が1時間あたり何回起きているかを数値化したものが、無呼吸低呼吸指数、AHIと言います。AHI 5回以上でOSAの可能性ありとなります。
5〜15回未満は軽症
15〜30回未満は中等症
30回以上は重症と分類されます。
AHIが5回以上で日中の過度な眠気などの症状があれば、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」と診断します。
では、どれくらいの人がOSAにかかっているのでしょうか。
日本の疫学調査によると、30〜60歳代の男性でAHIが15以上のOSAと診断された人は約10〜20%、女性では5〜10%程度と報告されています。
70歳以上になると男性は20%以上、女性も10%を超えるとされ、高齢になるほど増加します。
さらに、AHIが5以上の軽症例も含めると、日本人男性の約3〜4人に1人、女性では6〜7人に1人がOSAの基準を満たす可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は決して稀な病気ではありません。
次のコラムでは、どんな人がOASにかかるのか?放置するとどうなるのかについて解説します。