血圧を下げる食事の秘訣 〜減塩だけじゃない!血管を丈夫にする栄養素と生活習慣〜
こんにちは。しんがい内科・循環器内科 沼南クリニックの院長、安原健太郎です。
高血圧の予防や改善には「減塩が大切」とよく言われます。しかし、それだけでは不十分なのをご存じでしょうか?
本当に大切なのは、動脈硬化を防ぎ、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を予防することです。
そこで今回は、血圧を下げるために 減塩以外にも重要な5つのポイント をご紹介します!
ぜひ、普段の生活に取り入れてみてください。
1. 減量と生活習慣の見直し 〜体重を落とすだけで血圧が変わる〜
「血圧を下げたい」と考えたとき、まず注目すべきなのは生活習慣の見直しです。
特に、肥満の方は減塩よりも減量の方が血圧を下げるのに効果的とされています。
体重を1kg減らすごとに、血圧が1〜2mmHg下がると言われており、減量は高血圧の予防・改善に直結します。
例えば、身長170cmで体重80kgの方が減塩だけで健康になれるかといえば、難しいのが現実です。
減量のための食事方法
✔ 糖質制限(炭水化物の摂取量を適度に減らす)
✔ カロリー制限(食べる量を調整する)
特におすすめなのは、野菜を多めにとりながら、糖質を少しずつ減らしていく方法です。
ご飯や麺を食べる前に野菜を食べるだけでも、血糖値の急上昇を防ぐ効果があります。
2. 塩分を控える 〜基本だけど侮れない〜
塩分の過剰摂取は血圧上昇の大きな原因の一つです。これまでの多くの論文で塩分摂取量と血圧の関係は示されてきました。
塩分を摂りすぎると、血液中の水分量が増えて血圧が上がります。血圧が高い状態が続くと、血管も硬くなり、さらに血圧が上昇する悪循環に陥ります。例え薬を飲んでいても、減塩は降圧治療の基本ですので、しっかりと意識してください。
減塩のコツ
✔ レモンや酢、香辛料を活用する
✔ 減塩タイプの醤油や味噌を選ぶ
✔ タレは「かける」ではなく「つける」
✔ 食卓に塩や醤油を置かない
ただし、極端な減塩は逆に健康リスクを高めることがあるため、無理のない範囲で取り組みましょう。
特に高齢の方は、塩分を控えすぎると食事の楽しみが減ってしまうこともあるので注意が必要です。
3. カリウムを積極的に摂る 〜体内のナトリウムを追い出す〜
塩分を控えるだけでなく、**体内の余分な塩分を排出する「カリウム」**を意識的に摂ることも重要です。
カリウムが多い食品
✔ バナナ、キウイ、アボカド(果物)
✔ ほうれん草、ブロッコリー、トマト(野菜)
✔ オートミール、大麦(水溶性食物繊維)
カリウムをしっかり摂ることで、ナトリウム(塩分)が尿と一緒に排出され、血圧を下げる効果が期待できます。
注意点:腎臓の機能が低下している方は、カリウムの摂りすぎに注意が必要です。気になる方は医師に相談しましょう。
4. 血管を丈夫にする栄養素を摂る
血圧が高くても、血管が柔軟であれば大きな問題にはなりません。
しかし、血管が硬くなると、少しの血圧上昇でもダメージを受けやすくなります。
血管を丈夫にする栄養素
✔ マグネシウム(ナッツ類、海藻、豆類)
✔ 不飽和脂肪酸(青魚、オリーブオイル、アボカド)
✔ 良質なタンパク質(魚、鶏肉、大豆製品)
逆に、血管に悪い食品には注意しましょう。
❌ リン(加工食品に多く含まれ、血管の石灰化を促進)
❌ 飽和脂肪酸・トランス脂肪酸(牛脂、マーガリン、お菓子類)
適切な栄養を摂取しながら、血管を健康に保つことが重要です。
5. 体内時計のリセット 〜朝食で血圧リズムを整える〜
血圧には1日のリズムがあり、朝の血圧上昇(モーニングサージ)が心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めることが知られています。
このリスクを減らすには、体内時計を整えることが大切です。
朝日を浴びて、しっかりと朝食をとることで、血圧の変動を安定させることができます。
朝食におすすめの食品
✔ タンパク質を含む食品(卵、納豆、ヨーグルトなど)
✔ 炭水化物(ご飯やオートミール)
朝食を抜くと、血圧のリズムが乱れてしまうため、必ず食べるようにしましょう。
【まとめ】血圧を下げるための5つのポイント
✔ 減量と生活習慣を見直す
✔ 塩分を控える
✔ カリウムと水溶性食物繊維を積極的に摂る
✔ 血管を丈夫にする栄養素を摂る
✔ 朝食でタンパク質を摂取し、体内時計をリセットする
血圧を下げることは目的ではなく、動脈硬化を防ぎ、心筋梗塞や脳卒中を予防することが本当のゴールです。
無理なくできることから少しずつ実践し、健康的な生活を目指しましょう!